浜松市の中心部、豊かな緑に囲まれた浜松城公園を眺めながら、
なだらかな起伏のある街道を西に向かうと、新旧の家々が連なる
住宅地に入る。
「住宅設計事務所のアトリエを兼ねた住まいなので、大通りから
分かりやすいこの場所を選びました」と、この住まいのオーナー
であり設計者でもある、一級建築士の中村成孝(しげたか)さんが
出迎えてくれた。

アトリエ

アトリエは木の優しい表情と大きなガラス窓でお客様を迎える雰囲気を創出

アトリエは木の優しい表情と大きなガラス窓でお客様を迎える雰囲気を創出

中村邸は、平屋のアトリエの奥に2階建ての住まいがつながるシンプルな構成。白を基調としながらポイントに木の質感を活かした、明るく爽やかで、かつ温かみも感じられるデザインが印象的だ。

家族の意見も取り入れた住まい部分は、2階に大きくリビングダイニングキッチンと子供の個室を設けている。南側には隣家があるため、視線を遮りながら採光と通風を上手に確保し、視線の抜けがある北側に大きな窓を設けた。そのため夏でも風通しが良く、快適に過ごせるそう。

家族が一緒にくつろげる特注のソファーを設置

南側の窓下には家族が一緒にくつろげる特注のソファーを設置。室内の空気を汚さず足元に暖かい空気を送り出す温水ルームヒーターで、冬でもエアコンを使っていない

また、冬には下階の暖気が上がってくるため足元が冷えることは少ない。寒さが厳しい日にはLPガスの温水ルームヒーターが活躍している。「熱源に外部の給湯器を使っており、室内で燃焼しないので空気が汚れず、足元に吹き出す温風と輻射熱で室内が均一に暖まるので、とても満足しています」。このような建築と設備の工夫によって、中村邸では、来客時を除いてほとんどエアコンを使わないという。

玄関脇の土間空間

玄関脇の土間空間。左は浴室の壁になっており、
木の引戸を開けると浴室から土間の植栽を
楽しめる仕掛け

夫婦が共に働いている中村邸ではLPガスの乾燥機も大活躍。「中学生の息子が運動部に所属しているので毎日たくさん洗濯物が出るのですが、ガス乾燥機だと短時間でふっくらと乾きます。洗濯物が乾きにくい梅雨や、毛布などの大物を乾かす時にも使えますし、時間の節約にもなるので共働きの家庭には絶対にお薦めです」と奥様。

中村邸のキッチン

中村邸のキッチンは「家族や友達と一緒に料理を楽しみたい」という奥様の希望により、オープンキッチンとした。リビングと一体にあることで、自然に家事を手伝ったり会話も生まれる。

快適な我が家

コンロは「以前から使い慣れていたから」と、迷わずLPガスの機器を導入した。「一定時間が経つと自動的に火が消える、消し忘れ消火機能が付いているので、お湯を沸かしながら家事に集中してしまっても安全なので安心です」と奥様は笑う。また、いっそうおいしく感じると、ご飯は毎日ガスで炊いている。ビルトインのグリルは魚がふっくらと焼きあがり、ピザもおいしく焼けるのが気に入っている。

中村邸は都市ガスも選択できるエリアだったが、あえてLPガスを選択した。その理由は、災害時のエネルギー確保を考慮しての選択だという。
LPガスが使えても機器によっては停電でコンロに着火できないケースがあるが、中村さんはそこも考慮して、予備の電池で着火できるコンロを選択した。実際に台風の影響で数日間停電した際も、「LPガスと水道が使えたことで、不便ながらも家族が過ごすことができ、改めてエネルギー確保の重要性を実感しました」と語る。

最近は社会全体に防災意識が高まってきたこともあり、住宅設計の依頼があった際に、施主の方からLPガスの導入を希望されるケースも多いという。
「日常の利便性や快適性の視点も重要ですが、災害時の備えとしてLPガスを選択することは、更なる安心感につながると思います」。

最後に、LPガスを選択するにあたってコスト面に関してはどのように考えたのだろうか。
「やはり気になって比較してみたのですが、我が家のエリアではLPガスも都市ガスも大きく変わらないという印象を持ち、安心して導入しました」。

エントランスの庇(ひさし)にツバメが毎年巣を作るので、雛の落下防止棚を設計するなど、子育てを優しく見守りながら、お互いが安全で安心して共存できる環境を創っている中村さん。
忙しい毎日の便利・快適と「いざ」という災害時、その両方でLPガスが暮らしを支えていることを実体験した中村さん夫婦は、「LPガスを導入して本当に良かったです」と語ってくれた。

快適な我が家